今さん一人追悼
今回はドバイのこととは関係なく私が日本で生活していたときの話が主です。
日本にいたらきっと知り合いと話して終わっていたと思うけどここでは話せる相手がいないのでずっとぐるぐる考えてました。でもすぐに考えをまとめることができなくて少し間をおいて考えたことを書きます。
先月25日メールで映画監督の今さんが亡くなられたことを知らされた。
何かの悪い冗談かと思ったけど、事実だった。
その後マッドハウスから日本の携帯に電話もあってきっと各所関係者に連絡しているのだなと思った。
ずっとブログの更新もなくデジスタにも出なくなったようなので新作の制作でそうとう忙しいんだろうと思っていた。
そんなことになってるのはごく一部しか知らなかったそうなので外部の私が知る由もないのだけど。
今さんと出会ったのはデジスタというNHK番組で今さんが私の作品を選んだからだった。
選んだ理由はいろいろあるのだろうけど、とにかく私はそれでTVに出演するという経験もできたので感謝している。
その後アニメフェアでブースを出したときにも遊びに来てくれたし、飲みに行ったときにサインをしてくれたりした。
日本の家には2枚ほどサインがある。
そして最初に出会ってから数年たった去年夏。
私にお仕事をくれた。
新作は未だ制作真っ最中だけど私が係わったのはある1シーン。
今さんにはないテイストのものがほしかったとのことで私を思い出してくれたんだそうだ。
私のことを覚えていたのにまずびっくりしたし、今さん直々の指名だったらしい。
素直にうれしかった。
デジスタのとき、仕事を頼むならあなたに頼むよと言ってくれていたが本当にくれるとは思わなかった。
そして今年の初旬に無事自分のカットは納品してその後は完成を楽しみにしていた。
まさか完成の連絡の前にこんなことを聞くとは思わなかった。
ドバイの会社になぜかパプリカがあったので今日一人映画を観て、おまけの監督インタビューなども全部見た。
日本では追悼特別番組でいろいろ流れているみたいだけど当然観れないので一人追悼式。
会ったことがあるのは両手に収まるほどの回数。
はっきりいってそんなに近い関係ではない。
でもそれだけでもいろんなことを思い出す。
知り合いの早い死はこんなにも重いものなのかと思った。
しかも今海外に住んでるのでもし何かしたいと思ったとしても手も足も出ないこの感じ。
なんともいえない。
なんども今さんのブログにある遺書を読んだ。
もし自分が今から半年しか命がないとしたら何をするのかなぁと考えた。
どうしようもない事実を抱えて身辺整理をするのはどんな気持ちだろう。
今いるところから離れたくないのに離れなきゃいけない。
私は日本から遠く離れたドバイにきたけど帰ろうと思えばいつでも帰れる。
もしもう二度と帰れないとしたら…?
ブログにあったあの言葉がずっと頭から離れない。
「自分の生きた世界を愛してる」
ステキだけどなんて悲しい言葉。
自由の利かなくなった体でこれを書いたときの気持ちを思うと涙が出る。
海外だから感傷的になるのかな?
たった一度きりだったけどお仕事を通していろいろ教えてもらった。
なんとなく見た目が怖くて苦手だなと思ったこともあったけど…。
勉強させていただきました。
ありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。

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